湖からの帰り道。
理央のから離れたモノの影響を考えて少し時間を休ませてから来た道を歩いている。その中で俺の前を歩いていたカレンの突然の咆哮である。もちろん皆がビクッとした。林にいた鳥もバサバサと飛び立つ。「な、なんだよカレン!! ビックリするだろ!!」
「思いだした!!」「何を?」 皆の視線がカレンに集中する。「あの人が言っていた秋田真由美って名前ね、どこかで聞いた事があるなぁって思ってたんだけど」
「だけど?」「話のなが~~~いおばあぁちゃん家で聞いたよ!!」「「「えええぇ!!」」」「な、なんで言わないんだよ!!」「だって、今思い出したんだし、それに話が長くて今まで忘れてたんだもん」――やっぱりカレンはポンコツお嬢だと思う。ステージの上のカレンとは別人だ。浜辺で話した幽霊である秋田真由美は、今まで会ってきたモノの中でも、表現が合ってるかはわからないけどいい人だった。
だから素直に話を聞いたのだが、彼女はただ静かにいたいだけなのだと言っていた。自分はここから離れてはいけないのだと。
そしてここ最近の湖周辺での事故や事件にはかかわっていない。別のモノがしているのだとも言っていた。
ならば俺たちはまた別の方向からこの件を考えなくてはならないだろう。
「『今までしたことはあの子たちには申し訳ないと思ってるわ。もうあの子たちには影響しないし、これかも他の方々にはしないわ。約束する』」 真由美はそう言ってくれたのだ。俺はそれを信じたいと思う。「これからどうするの?」
てくてく歩きながらカレンが問いかける。「うん、あの人の言う事を信じるならまずはこの件を調べ直さなきゃいけないと思う」
「そうね。中に入られてた私が言う事じゃないかもだけど、あの人、嘘は言ってなかった感じがしたわ」 身体を使われていた理央が少しダルそうな体を振り向かせて共感してくれた。「それに、気になることも言ってたし」
「そうなの?」